第1期 2001年
9月10日〜11月26日(全10回)
第1回 2001年9月10日(月)19:00〜 NPO法人はこだてフォトアーカイブス東京事務局主催による「金村修ワークショップ」が、初回幕開けした。 会場は新宿3丁目にある『月光』の出版事務所・南原企画。 自己紹介のあと、早速、金村氏が参加者の作品を講評していく。 初回はこうして熱気にみちて無事終了。 (レポート:小寺) 基本的には、毎週撮り下ろしで挑んでいただく当ワークショップ。 第2回 2001年9月17日(月)19:00〜 今回は、金村さんTBS「情熱大陸」出演のための撮影が入り、頭上からガンマイクのぶら下がるもとに作品が広げられた。 「無駄うちするべきなんだよ。写真てのはやっぱり。。。」 「自分は“世界”でいきたいし、被写体に意味を持たせない方向でいきたい」 「自分に自信がないと写真ってのはやってけないよ」 「記録なんてなくていいんだよ。写真ってのは、そういう意味とかなんとかっていうことばを剥奪するもんだよ。続けりゃいいんだよ」 「写真自体に未来がないんだよ。まあ、大丈夫。未来がないものってのは芸術になるから。。。」 「動機なんてないから、目的はないよね。目的がないってことは終わらないよね」 「動機がほしいってことは根拠がほしいってことなんだけど、写真ってのは根拠がないってことを受け入れないと。根拠がほしいってことは安定がほしいわけだけど、カメラってのは、自分が何をみたかとかってことを裏切るわけだから」 「自信がないってことで、根拠がないってことで自信をもてばいいわけじゃない?」 (レポート:小寺) 第3回 2001年10月2日(火)19:00〜 今週は金村修・写真ワークショップ実況中継。 金村(以下
Ka):この3枚はすごくいいけどね…(写真1 2 3) Ka:要するにさ、人とか車が写ったりすると、ああ、これは工場を撮ったんだな、っていう場所の写真になっちゃうんだよ。 小林:フジです。 Ka:この写真はコダックが合うかもしれない。 次は片桐さんの作品から。 Ka:何点か、6×6で撮ったみたいな印象があるね。あなたの写真であまり良くないのは、6×6みたいに見える写真だね。(写真 5) どうしても正方形のサイズを要求されるような写真っていうのは、どういうことかというと、目につくものが1つしかないんだよ。 あなたの写真は一歩引くといいじゃない。6×7を使っている意味がある。近いとさ、6×6の世界なんだよ。 これからは撮影する時、意識的に一歩引いてみな。 (レポート:船渡川) 写真 5 写真 6 第5回 2001年10月15日(月)19:00〜 ワークショップ実況中継、第二弾をお送りします。 まず今回は、高嶋紳さんから。 金村:投げやりに入ってくる写真だと結構アップでもいいんだけど、こういうふうになってくると(写真1)、ある意志をもってここにピントをあわせるみたいな感じになってくるじゃない。そうするともっとピントいい方がいいじゃない、35mmから中判のカメラとかさあ。 でも、かるいってのが抜けないんだよな。まあ当然カメラがカメラだからかるいんだけど。そのかるさを積極的に利用していくしかないんだよね。 高嶋:もっとちゃんとかまえてやりたいってのもあるんですけど。。。 金村:一番いいのはちゃんとしたカメラで軽く撮るっいうのがいいんだけど。あと軽いカメラで重く撮るとかね。そうするとまた違ってくるんだけど。 君は、前はもうちょっと距離が離れてたじゃない。そういう写真ってのは、何やってるか分かるわけじゃない。漫然とこう日常生活を撮りたいんだなっていう。 ただ、みててかるく感じるっていうのは、その欲望みたいなところが出てないんでしょうね、撮ってる段階で。 写真 5 写真 6 次は、10/2に引き続き、片桐美智子さんです。 金村:君、6×6じゃないか、いきなり。びっくりしたな。 片桐:買ったんですよ。 金村:6×6、いいじゃない。 片桐:前に6×6っぽいって言われた(10/2レポートに掲載)から6×6にしてみようかなと思って。 金村:そういう人って珍しいよね。 金村:かっこいいよ。こうやって進歩するんだ。。。 片桐:なんか6×6の方があんまり近寄れない。 金村:合うフォーマットってあるんだよ。 (レポート:小寺) 第6回 2001年10月22日(月)19:00〜 今回は、受講者Sさんによるレポートです。 10月22日、17:00頃には暗い季節。 「じゃあ君、写真持ってきた?」金村修。 「じゃあ君。」金村修。 「えー、C君。」金村修。 金村修ワークショップ、第6回終了21:00。 (レポート:S氏)
「写真は被写体を飼い馴らすわけではない。写真家の思惑の中にスッポリと被写体がはまりこむことなど不可能なことだ。撮影にはつねに乱雑な要素が入り込むだろうし、その機能上フィルム、印画紙、カメラとそのプロセスに介入してくる雑多な要素が作者の思惑を中断させたり歪ませたりしてしまう。思い通りにならないなら、その思い通りにならないことを肯定していけばいいと思うし、手のひらにおさまらないなら、手のひらにおさまらないことを肯定していけばいいと思う。写真はつねに目の前にあることを肯定し続けなければ前へ進まないし、肯定するという事以外に写真の返事はないと思う。」金村 修
台風直撃の悪天候、数名の欠席者があって、本日の参加者は9名。
ここは貸ギャラリー/貸スペースでもあり、10月18日からは島尾伸三氏の展覧会も行われる。
オーナー御自身も写真家で、今はこのスペースに展示をしている。
金村氏もお気に入りのこの写真群に囲まれたスペースの真ん中に机を置いてのワークショップだから、まさにうってつけの空間だ。
「写真って、自分のイメージした以外のものが入ってくるのがおもしろいんだよ」
いつもは陽気な金村さんが、サングラスの奥で、彼らの写真の行方を探る瞳は本当に真剣!
その瞬間、金村氏は、彼らの印画紙から広がっていく世界のなかにあって、まるで別空間にいるかのようだった。
次回は9月17日(月)、何名の作品が金村氏にその行方を探られることだろうか。
撮ること、見ること、そして写真批評を「聞くこと」のトレーニングです。
ワークショップレポートを今後HPAホームページで展開していきますので、どうぞ御覧ください。
「どこにでもありそうな場所なんだけど、ここでなきゃいけないみたいなさ。説明できないけど、パッとみておもしろし、気持ちいい。キーポイントがないからみえてクるものがある…」
前回の金村さんの講評をうけて、それぞれがその課題に挑んでいる。
それに加え、写真というものへのことばをノートに列ねてきた人がいたこともあってか、写真への向かい方に対する思いがあちこちからこぼれてきた。
写真する人々が何を考え、何を思い、何を感じているのか。。。
参加者の作品をピックアップし、それに対する金村さんの講評、参加者との対話などお伝えします。
今回紹介させていただくのは、小林雄一郎さんと片桐美智子さんの作品です。
まずは、小林さんの作品から。
例えば、何でこれが良くないかっていうと、(写真 4)この車が強すぎるんだよ。
これがなかったら、いい写真だと思う。
人とか車を被写体からはずしてみな。
地表のマチエールしか見えてこなくなるでしょ?
それでモノを撮っていくんだ、っていうのがあると、断然そっちの方がおもしろくなるはずだよ。それに、車とかあるとスケール感が分かっちゃうでしょ。
スケール感が分らない方がこの写真はおもしろい。
Ka:フィルムはコダック?
もっとメリハリがつくから。
このプリントはコントラストがなくて、黒い。
ヌメッとして見えるよ。あまりきれいではないよね。
こういうコントラストがない写真はグレーにあげていかないといけないけど、写真においてグレーはきたない色だよ、本来は。
でもこの場合、そのグレーをきれいに出していかないといけないから。

写真 1

写真 2

写真 3

写真 4
ちょっと横が長く見えるんだよ。
横が何センチかジャマに見えるというか。
実際は、6×7で撮ってるんでしょ?
これとかは、完璧なんだよ。(写真 6)
フルサイズで使っているというのがよく分る。
ジャマなところないでしょ?
でもこういう写真っていうのは、画面の中で何か1つを強調させていくやり方ではないから。
今度コンタクトプリントを全部見るから、持ってきて。
回を重ねる毎に、金村さんの講評がどんどんフィードバックされていきます。
でも、君のって手持ちのカメラの特性みたいなもんでさあ、こうバッて撮れるっていう話じゃない。
これ(写真1)はどちらかというと作品を作ろうみたいな意志があるわけだから。
自分でどう?
自分の欲求してるものがなんとなく分かりそうな感じになると、それはやっぱり説明してることになっちゃうからさ。
これは、そういう人と違うよね。もっとセクシャルな欲望。
日常生活のなかでどこの素材にひっかかってるのかっていうことになるから、その辺をある程度推し進めたほうがいいんじゃないかな。
だからモノがもろに見えるとおもしろくないんだよね。
写真 1
写真 2
写真 3

写真 4

6×6持ってたの?
またなんで6×6買おうと思ったの?
普通、6×6っぽいって言われたら直そうと思うんだけどね。
ものすごい、君いきなり変わったね。なんか重みがあるよ。
片桐:まだ試し撮りで、6×7とどれくらい違うのかなって。
よかったじゃない、買い替えて!

写真 7

写真 8
金村修ワークショップ第6回、最新最速の自作プリントを持った20代男女、A、B、C、D、4名。
観察、Z、X、2名、欠席数名。
そして、プラウベルマキナ、Tri-X、金村修、新宿3丁目徒歩1分に到着。
マイルスデイビス、レコーディング話等、20分。
1200×2000の机に、六切カラープリント10数枚、35@キャノンEOS撮影、Aの写真。
電車の窓ガラス越しに撮られた写真(紙)。
「この写真がいい所ってのは、ガラスが透明じゃないところ。物質感っていうの?ガラスっていうとどうしてもイリュージョンにいきたがるでしょ、そうじゃないところがいい。ガラスっていう物質が入ってるっていう、それは写真っていう物質が入っているっていう、ある種アナロジーになるのではないか」金村修。
撮影場所自宅。ボーダーシャツ、包丁、雑草を切る、犬、L判プリント20数枚。
リコーGR、Bの写真。
「これは凄い、こんなもんで癒される奴はいませんよ、これは奇怪だ。」
Bの写真には何が写ってるのか、金村修。
Mamiya7、Tri-X、四切イルフォード4枚、世界の様子、Cの写真。
来春1月、四谷でのC氏展覧会のタイトル案について、
「んー、すべての写真ってのは写真についての写真なわけだから、それをあからさまに出すのはどうかなあ」金村修。