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第9期 2004年5月10日〜(全10回)



「写真は常に「これが写真だ」と言い当てられながらも、その言い当てられた根拠をどこにも見い出すことができない。写真は私達の目の前にありながらも、それ以上の思考の方向を閉ざしてしまう。写真は私達の世界の限界であり、それ以上行くことのできない壁としてそびえ立つ。私達は、ビルを撮ることも人や動物を撮ることも可能だが、写真だけは撮ることができない。写真を所有することなど一体誰が出来るのだろうか?抽象的かつ不透明なものでありながら、写真は具体的、物質的に私達の目の前に現れ、思考や感情、あらゆる問いを拒絶するように立ち上がる。思考不可能なモノでありながら、常に単純な答えを絶対的な事実として言い放つ写真の前で、私達はただ呆然と受け取ることしかできないだろう。「私」と「写真」との関係?それは一方的でトートロジーとしてしかありえない。私達は写真と関係を結ぶことが出来ないのだ。私達が選べる道は、写真に強制される事だけで、「私は××を撮る」という以上に、何も言うことができない。どんな脱出口もふさがれた世界を撮り続けるしかないだろう。「写真」を撮るというこの不可能な作業は、世界の限界を撮るたびに見たくもないのに見せつけられてしまう、暴力的な作業なのだ。」金村 修

 

第4回 2004年06月07日(月)19:00〜

 以前にも何度か御紹介しております、藤 啓介さんの作品です。
 
第6期8回 / 第7期7回 

 

写 真 1

 

写 真 2

 

写 真 3

 

写 真 4

 

写 真 5

 

写 真 6

 

写 真 7

写 真 8

金村:
「この中でどれ好きだ?」

藤:
「これ(写真7)ですかね。」

金村:
「なんでこれ(写真7)が好きなんだよ? これ(右下に立っている細長い棒)とこれ(ブロック塀の黄色い貼紙)がなきゃいいんだけどな〜。
 君の写真のさあ、たまに出てくるうすい色っていいよね。人工物って感じでさあ。変な色になるんだね

 あなたの場合、(選ぶのに)幅があった方がいいんだよね。
普通こういうの(写真5)入れないんだよ。入れちゃうと、道っていうテーマが絞りきれないから。」

藤:
「道ですか?」

金村:
「たとえば、この写真(写真2)だって道なんだけどー道の色っていうかさあ。
そうすると、これ(写真5)はちょっと違うじゃん。木だから。でも入れたほうがね、おもしろいって思う。
何故かはわかんないけど。でも、それはいいことだと思うよ。だから君は、不思議な創り方ができるかもしれない。

 ここ(写真1〜6)に、これ(写真7)が入ってしまうとどうなるか? なんか不思議は分かるんだけどねえ。。。
 こっち(写真1〜6)は妙なんだよね。これ(写真4)もなんかおかしいでしょ。この(屋根の)白って。なんかあるべきところにあっちゃいけないみたいなさあ。」

藤:
「こういうの(写真8)は意識的にぐちゃぐちゃにしてるってのが分かるんですかね?」

金村:
「うん、分かるよね。あなたの写真ってのは、モノが詰まってるからおもしろいとかの世界じゃないからさあ。なんでこの屋根(写真4)が白いんだろう?とか、なんでこれ(写真2の道)が緑なんだろう?とかさあ、変なんだよね。別の場所の写真とつながるとこはそこなんだよ。
 これ(写真7/8)だとまあ、成立させやすいっちゃさせやすいし、分かりやすいっちゃ分かりやすいんだけど。
でも、こっち(写真1〜6)の方がつかみ所がなくてすごいと思う。ほんとに。」

藤:
「撮ってる時は、こういうこと(写真8)をやってみたくなっちゃうんですよね。でもできたら、やっぱりなんか違うなって思って、でも、それでもどうなんだろうなーって入れちゃうんですけど。
 こういうの(写真1〜6)って狙って撮れないっていうか。。。」

金村:
「そりゃそうだよ。狙って撮れないけど撮ってるじゃん!
 あなたの不安なとこはそこでしょ? 狙って撮れないから、狙わないで撮るということを今後もできるのか?っていうさあ。
でもね、いい写真っていうのはね、狙って撮れるもんじゃないんだよ。」

藤:
「特にこういうの(写真1〜6)だと撮ってる時と全然イメージが違うんですよね、上がってきた時。。。」

金村:
「ストリートスナップなんかね、確実にあれは、狙って撮るもんじゃないよ! ほとんどみんな見れないでしょ、ファインダーは覗いてるけど。結局、上がりと全然違うんだってことを肯定してるのがストリートスナップなんだよ。
 君の写真のなかには、風景写真なのに、そのストリートスナップみたいな危険さっていうのかな、スリルがあるんだよね。そういう意味では。
狙ったことを超えてるからさあ。つまり、人間の知覚を超えてるんだ。」

藤:
「なんでか分からないから、こういうの(写真7/8)撮りたくなっちゃうんですよね。」

金村:
「そりゃ、こういうの(写真7/8)は自分で説明できるからだよ。」

藤:
「そうなんですよ! 説明できるんですよ!」

金村:
「だけど、こうやって(写真1〜6)撮れるんだから、いいんだよ。まあ不安感はあるけどね。才能で撮ってる写真って不安感があるんだよ。でも才能だけで撮ってるわけじゃないんだから。
ただ、写真は答えてくれないからね。。。」

藤:
「撮れないっていうか選べらないような気がするんですよね。。。」

金村:
「今はね、そりゃしょうがないよ。最初は選べないよ。選べないから、こういうところに来てるんだし。
 展覧会やると分かるよ。個展やってねえ、一週間なりなんなり、会場で自分の写真観るでしょ。そうするとねえ、選べるようになるんだよね。ああ、自分はこういうことやりたいんだなあっていうのがみえてくるっていうかさあ。。。
 それに、こういうの(写真7/8)だったら簡単に撮れるでしょ? ある場所に行けば?
 これ(写真1〜6)はいいと思うよ。悪意があるべッヒャーって感じで、かっこいいよ。
 君、個展やった方がいいよ。そうすると自分で最終的に何が撮れるかって分かるから。なんで個展やると分かるか?っていうと、自分で客観視できるからだよ。今の段階じゃ客観視してないでしょ? 俺とかが何となしに分かるのはさあ、他人の写真だから客観視できるからなんだよ。
 そろそろたまってるんだろ? 暇だったらギャラリー回ってさあ。
 タイトルと文章もちょっと考えてさあ。僕の写真は意味ありませんってふんぞり返ってると無視されるからね。間違っててもいいから、ある程度しゃべった方がいいよ。何でもいいから。
好きだから撮ってるとか意味ありませんとかって言ってると、まず評論家はみんな無視するから絶対に。なに故に私は意味がないことをやるのかっていうのを説明しなきゃダメなんだよ。
 でも、とにかく写真撮りたいわけでしょ? じゃあ、なんで写真撮ってるか?だよね。でっちあげてもいいんだよ。間違っててもいいんだよ。
 とにかく、これ、すごくいいよ。不思議だよな〜」

(レポート:小寺)