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第10期 2004年09月06日〜(全10回)



「カフカの『城』の門番は、一体誰の代理人なのだろうか。門番は、ある組織の「代理=再現」者として主人公と無限の会話を行っているのだろうか。門番は、ある組織の代理人であるというよりも、彼が組織そのものであり、私たちは、門番をある組織の部分=断片として考えるよりも、門番=組織全体として考えるべきである。だいたい門番を通さなければ、組織は現れてこないだろう。門番がいるからこそ、組織が存在する。組織があって門番がいるのではなく、門番がいて組織が存在するのだ。
 私たちは、写真を世界のある部分=断片として考えてはならない。写真はパズルではないのだ。断片を組み合わせていけば、全体が見えてくるなどというものではない。私たちが撮るものは、常にそれ自体が全体であり、その全体が何を意味するかを理解することはできない。私たちは、分からないものを撮る。パズルであることを拒否する写真は、いくら集まったところで何が解明される訳でもない。私たちは、『城』の主人公のように見ることのできない全体と向き合い続けなければいけないのだ。」金村 修

 

第3回 2004年09月21日(月)19:00〜

 永倉 穂さんの作品を御紹介します。

金村:
「ノーマル現像してる? 随分ハイキーだよね。
 初心者だと“普通”が分からないから、つい過激な表現になっちゃうんだよね。どんどん飽きていってもっと粒子を荒らしたくなる…。
 最初は印画紙も3号で焼かないと! 基準を知らないと、どこまでコントラストをあげていいか分からないでしょ?
世間に出すと森山大道さんの写真のマネってことになっちゃうよ。
 それにあなたの写真の黒は、ただの真っ黒にみえる。森山さんの黒は違うよね? 黒の中にも階調があるでしょ。
ただのベッタリ黒だったら、コピーしてもいいわけでさ。
 一度ノーマルに現像してプリントしないと、自分でも何か好きか分からないんだよ。
植物が好きか、建物が好きか、同じトーンでやってると自分の中で整理もつかないし悩まないんだよね。全部一致しちゃって。
 本当は一枚一枚違うのに同じ写真に見えてしまうのはまずいんだよ。写真に差がないと写真を選ぶことができない。
ずっと写真を撮ることはできるけど、ずっと写真もこのまま。。。確かに悩まずに済むんだけど、写真家は悩まないと!」

「この写真(写真2)の電柱のどこが面白いかっていうと、その構造だと思うんだ。でも、その面白さを出すためにはピントがきてるっていうのが条件なんだよね。だからもっと登って、標準のレンズで撮るとか、中判のカメラを使うとかね、他に方法があるわけなんだよ。
 それより例えば、電柱がどこにおかれているのかとか、そういうのを撮ってみるとかね。新宿にある電柱と高尾にある電柱はあり方として全然違うわけじゃない。だから。
 あと、このプリントのトーンだとフェティッシュにしていくという方向もあるけど…。」

「植物を撮っていくにしても被写体との距離っていうものがあるわけじゃない。5mか、10mか、写真家の立つ位置がその写真家の写真に対する姿勢ともいえるからね。
 そういうのがこの場合、プリントのトーンで消されるんだよね。このトーンが好きですって以外、何も見えてこない。
それだったら写っているものも、距離も、どうでもいいという話になっちゃうよね。
 見る方としては、この葉っぱ(写真1)が見たいわけだよ。でも、こう白く飛んじゃうと葉っぱじゃないんだよね。
それにここまで寄ると何だかよく分からないし。。。」

「写真ってね、部分を撮るのが一番簡単なんだよ。ある部分を切り撮れば、何となく成立して見えちゃうんだよね。
体力が落ちて歩くのがだるくなってくると、みんな部分にいくんだよね(笑)。まあ、それに意味があるならいいけどね。
 バウハウスのブームは、ナチズムっていう全体主義に対する表現だったと思うしね。」

「森山さんのオリジナルプリントは見たことある? やっぱりきれいだよ!
 いろいろな人のオリジナルプリントは見ておくべきだね。森山さんだけじゃなくて、牛腸茂雄さんのも、ロバート・フランクさんのも見ておかないと。
 プリントを見るのが難しかったら、まず写真集からでいいよ。
見ることと撮ることは同じ。見ないと撮れない。つまらないと思う写真でも見てみなよ。
つまらない写真だと自分だったらこうするな、と考えるでしょ?」

「とにかく、たくさん撮ることだね。捨てるように撮りな!
 被写体との距離も一歩さがったり、前へ出たり、いろいろやってみる。
でも、撮る時は余計なことは考えなくてもいい。現像して写真を選ぶ時、うんと考えるんだよ!」

 

 


写 真 3

 


写 真 4

 


写 真 1

 


写 真 2

 


写 真 5

(レポート:船渡川)

第6回 2004年10月18日(月)19:00〜


今年の秋は台風ばかり。
 写真を撮る人にはいい季節のはずなのに。。。

 田原 喜久江さんの作品を御紹介します。

 

写 真 1

 

写 真 2

 

写 真 3

 

写 真 4

 

写 真 5

 

写 真 6

金村:
「雨の中撮ってますね。えらいな〜!」

「雰囲気のある写真(写真4/6)と、わりとフォルマティックな写真(写真1/3)と2種類ありますね。」

「完全に本当にかっちり決めてね、これ(写真1/3)だけでやるっていうなら、それはそれでいいんだけど。
 リー・フリードランダーなんかが、こういう写真なんですけどね。
 こういう写真(写真1)が何故おもしろいかっていうと、たてにこう真ん中があって(標識の棒)、また(横向きにも)こういうふうに真ん中があって(道路)、画面がどんどん分割できるじゃないですか。1つの画面なんだけど、4つの画面にわかれて、4つの画面がまた1個ずつわかれてくっていう、結構複雑な構成の仕方なんですよ。
 に対して、こういうの(写真4/6)っていうのは、もっと感覚的なものが入ってるっていうのかな。。。」

「2種類の撮り方があるわけだから、それを自分でどうしていくかですよね〜」

「たとえば、こういう(写真1/3)ごちゃごちゃとフォルマティックにやりたいなと思ったら、この2枚(写真1/3)持ってきて、これ(写真2)なんかを真ん中に入れてみるんですよ。
そうすると、合うじゃないですか。」

「こういうの(写真4/6)だけでやってくと、ちょっと叙情性が強すぎるかもしれないから、このなか(写真1/2/3)に、パッと入れられると画面が引き締まってくるじゃないですか。そうすると叙情性だけじゃなくて、ちゃんと(モノの)形を分かって撮ってるんだっていうのがよくみえてくるから、こういう(写真1/3)なかにぱっと入ったりするのが、おもしろいかもしれない。」

「展覧会ではね、たとえば、こういう2枚(写真4/6)だけロールでバーンと大きくして、こういうの(写真1/2/3/5)は普通のサイズで並べるとかね。」

「この2種類ぐらいやってった方がいいでしょう!」

(レポート:小寺)

第10回 2004年11月15日(月)19:00〜

今期・第3回で御紹介した永倉 穂さん。
カメラをかえて、6×6を撮りはじめました。

金村:
「6×6かあ! これいいね。これいい写真だよね。
よかったね〜カメラかえて!
 ピントがここにはあってないんだけど、ここにはあってるんだなー。」

永倉:
「無限なんで。。。」
「ごちゃごちゃしてるのは好きなんですけど。。。」

金村:
「でも、あんまりごちゃごちゃし過ぎても、ちょっと違うよね。なんか君独特のさあ、風情があってさあ、こういうの入るよね。」

「トーンはこれぐらいに合わせた方がいいと思うよ。
君はあんまり黒くない方がいい。
きれいだ。爽やかだよな。空が独特でね、それがいいんだと思う。
この頼り無さっていうか。」

「正方形の写真でつまんないのって、いかにも正方形って感じがするから、選ぶときにそのへんを考えながらね。
 ピントがなんかおもしろいよな!」

 

写 真 1

 

写 真 2

 

写 真 3

 

写 真 4

 

写 真 5

 

写 真 6

(レポート:小寺)